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世界文化遺産に「古都京都の文化財」として登録されている賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ・通称下鴨神社)は、起源が崇神(すじん)天皇のころに修造の記録がある古い神社。京都を歩く時には外せないパワースポットです。

訪れた日には外国人のカップルが結婚式を挙げていました


楼門、中門を入り本殿前に。西本殿、東本殿共に国宝です


この連載でいつか京都の清水寺を取り上げました。京の町を見下ろす舞台が素晴しい素敵なお寺です。

また、清水寺参りの楽しさは、参道を歩くことにあります。多くのおみやげ店や飲食店が参道や路地に軒を連ね、レンタル着物に彩られた観光客が楽しげに歩くのを見ると、こちらもうきうきした気分になってきます。

一方、左に鴨川、右に高野川と鴨川が二つの川になる場所に位置する下鴨神社は、喧騒とは無縁の広大な森の中にあります。

個人的な気持ちを書けば、清水寺周辺には“京都の今”を楽しむために散策にでかけ、下鴨神社には京都ならではの静かで荘厳な雰囲気を味わうためにでかけています。

下鴨神社は紀元前にも記録が残る古い神社です。下鴨神社を囲む12万平方メートルにおよぶ糺の森(ただすのもり)周辺からは、縄文、弥生時代の住居跡が発掘されており、歴史がある地なのが裏付けられています。

また、祭りや社殿、奉納の記録が古くから残るほか、『続日本記』(700年頃)には、葵祭の見物人が多いことまで記されているのです。

お祀りしているのは賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)とその娘神である玉依媛命(たまよりひめのみこと)。ご利益は「何かを成し遂げようとしている人」の運気上昇や、子宝、縁結びとなっています。

私がお参りする時は、出町柳駅方向からのんびりと歩いて行きます。

高野川に架かる橋を渡り、旧三井家下鴨別邸を過ぎ、住宅地を歩いて糺の森へと歩きます。かなり距離があるのですが、京都の閑静な住宅地を経て、森を歩き、それから下鴨神社へと続く道程が好きなのです。

この静かな道は、清水寺の参道とはまったく異なる世界です。清水寺の参道も好きな場所の一つですが、静かな森の中の道も、古都京都に残る貴重な場所だと思うのです。

表参道の横に設けられた馬場


池の上に建つ御手洗社。丑の日には「足つけ神事」が行われます


言社では干支の神様にお参り


下鴨神社といえば「葵祭」です。5月の葵祭、7月の八坂神社の祇園祭、10月に平安神宮で行われる時代祭と共に、京都三大祭りと呼ばれています。

その昔は賀茂御祖神社と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭として行われていました。中断した時期があったのですが、江戸時代に再興されてから葵祭と呼ばれるようになりました。

内蔵使、山城使、牛車、風流傘などの平安貴族の姿で列を作り、総勢約500名が京都御所から下鴨神社へ。さらに、上賀茂神社までの約8kmを歩きます。

葵祭は毎年5月15日に行われる行事です。それに先立ち、5月3日に流鏑馬(やぶさめ)が開催されます。馬場は表参道の横に設けられています。

緑に覆われた森の中の馬場は、とても美しい表情を見せています。

また、表参道を包む糺の森の中には小川が流れ、野鳥や蝶の姿も見られます。まさに、緑と水の参道なのです。

楼門を入った後も、水の多い神社であることが感じられます。たとえば「橋殿」は、その名のとおり、小川の上に橋状に造られた殿です。その先には「御手洗社(みたらししゃ)」があり、これは池の上に建っています。災難厄除けの神様として信仰を集めています。

さて、楼門からさらに先の中門を入ると、まずは言社(ことしゃ)が目に入ります。「たつ」「さる」と干支が書かれた木札が立っており、干支を守る神様が祀られているので、それぞれの干支の言社にお参りするのを忘れずに。

訪ねた日はなぜか「たつ」と「さる」に行列ができていました。たまたま、同じ干支の人が大勢いたのだと、なんだかうれしい気分になりました。

言社の先が本殿です。それなりの距離を歩いて来てからのお参り。より一層神聖な気分になるから不思議です。

余談ですが、私はここでおみくじを引きました。何が出たかは書きませんが、そのおみくじは大事にお財布にしまってあります。


河合神社は女性の姿が目立ちました


独特の絵馬が掛けられています


京都の町を眺めたという旧三井家下鴨別邸の塔


本殿をお参りしたからといって、下鴨のパワースポットめぐりを終わりにしてはいけません。

おすすめは表参道の入り口付近にある河合神社と、そこから出町柳駅に向かう途中にある旧三井家下鴨別邸です。

河合神社は下鴨神社の摂末社。「方丈記」の著者として知られる鴨長明は河合神社の家系に生まれています。

私が河合神社に立ち寄ることをすすめるのは、ここが「美の神様」として信仰されているからです。

玉依姫命を祀っており、安産、育児、縁結びなどにご利益があるとされています。

また、絵馬も独特で、日本古来の柄鏡の形をしている「鏡絵馬」になっています。参拝者は顔が描かれた表面に、自分の顔に見立てて自らの化粧品を使ってメイクを施します。そして、裏面には願いごとを。

加えて美肌や白い肌を保つパワーのある「御白石」や、カリンと御神水による「美人水」まで用意されています。

まさに、女性のためのパワースポットなのです。

それでは男性に無縁かといえば、そうではありません。境内の任部社(とべしゃ)は三本足のカラス・八咫烏を祀っています。八咫烏は日本サッカー協会のシンボルであり、勝利の神様でもあります。

これから先、何か勝負をかけたいという人は、ぜひお参りください。

境内を出て出町柳駅に向かう住宅地の右手に、長い塀で囲まれた屋敷があります。塀の外からも展望塔の姿が見えるほどの豪邸は、旧三井家下鴨別邸です。

三井家11家の共有の別邸として、第10代の三井八郎右衛門高棟(たかみね)によって建てられたもの。近くに三井家の祖霊社が遷座されたため、それを参拝する時の休憩所として1925年に建造されました。

1949年には国に譲渡されて京都家庭裁判所の所長宿舎として8年前まで使用され、現在は貴重な建造物として一般公開されています。

庭もまた美しく、その一画に「夫婦椋(めおとむく)」と呼ばれる2本の寄り添った巨大な椋の木がありました。

触ってお祈りすれば、夫婦円満でいられるとか。ここもまた、パワーに満ちた場所でした。

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●下鴨神社
http://www.shimogamo-jinja.or.jp/

●河合神社(京都観光ガイド)
https://kyoto-design.jp/spot/9884

●旧三井家下鴨別邸
http://www.kyokanko.or.jp/mitsuike/index.html
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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