カメラのシャッターを押す時に、“撮りたいものだけに意識が集中”してしまうことはありませんか? 「いい写真の決め手は背景です」と、越カメラマンが断言します。今回は写真を決定づける背景の撮り方を越カメラマンが伝授。写真コンテスト情報、壁紙プレゼントもお見逃しなく。
このコーナーでも何度か触れていますが、忘れてほしくないことをもう一度書きます。
私が風景写真を撮るときにもっとも気にするのは、「背景選び」です。つまり、写真の善し悪しを決める最たる要素が背景だと考えているのです。
背景選びが特に“肝”となってくるのが、花、生きもの(昆虫、動物、鳥)、人物、小物や料理です。場面によっては鉄道やクルマの写真なども入ります。手前にメインにしたい被写体があって、バックが写り込む場面では、背景が重要になってくるのは変わりません。
ドライブの途中できれいな花に巡り会ったとしても、背景が今ひとつでは台無しです。
そこで今回は、「越流の背景選びの5つのポイント」を整理してみたいと思います。
私が風景写真を撮るときにもっとも気にするのは、「背景選び」です。つまり、写真の善し悪しを決める最たる要素が背景だと考えているのです。
背景選びが特に“肝”となってくるのが、花、生きもの(昆虫、動物、鳥)、人物、小物や料理です。場面によっては鉄道やクルマの写真なども入ります。手前にメインにしたい被写体があって、バックが写り込む場面では、背景が重要になってくるのは変わりません。
ドライブの途中できれいな花に巡り会ったとしても、背景が今ひとつでは台無しです。
そこで今回は、「越流の背景選びの5つのポイント」を整理してみたいと思います。
真っ先に考えなければならないのが、どこでカメラを構え、何を背景にするかです。
同じ花のある風景を撮るときにも、水辺で咲く花を選ぶのか(写真A)、森の近くで咲く花を選ぶのか(写真B)で雰囲気は変わってきます。
何と組み合わせると花が引き立つのか考えなければなりません。
この場合に決め手となるのは個人の主観(どんな雰囲気にしたいか)ですから、「何がいい」とは言えません。
ちなみに写真A/Bでは、高原らしい奥行き感が出せた写真Aのほうが個人的には好みです。
同じ花のある風景を撮るときにも、水辺で咲く花を選ぶのか(写真A)、森の近くで咲く花を選ぶのか(写真B)で雰囲気は変わってきます。
何と組み合わせると花が引き立つのか考えなければなりません。
この場合に決め手となるのは個人の主観(どんな雰囲気にしたいか)ですから、「何がいい」とは言えません。
ちなみに写真A/Bでは、高原らしい奥行き感が出せた写真Aのほうが個人的には好みです。
写真A
写真B
次に大切なのが背景の模様(情景)です。
ごちゃごちゃした背景(写真C)より、スッキリした背景(写真D)のほうが、メインの被写体が際立ちます。
これには、このあと解説するボケ具合も関わってきますが、「背景をぼかしてしまう」というだけではなく、「ぼかした場合でもスッキリ見える」ような場所を選んであげることが大切です。
また、背景をぼかすのではなく、しっかり見せたい場合には、その模様(情景)がスッキリ整理されていることが大切な要素になってきます。
ごちゃごちゃした背景(写真C)より、スッキリした背景(写真D)のほうが、メインの被写体が際立ちます。
これには、このあと解説するボケ具合も関わってきますが、「背景をぼかしてしまう」というだけではなく、「ぼかした場合でもスッキリ見える」ような場所を選んであげることが大切です。
また、背景をぼかすのではなく、しっかり見せたい場合には、その模様(情景)がスッキリ整理されていることが大切な要素になってきます。
写真C
写真D
たかが「背景選び」、されど「背景選び」というくらい、背景選びで大切な要素が「色」です。どんな色の背景と組み合わせるかで、メインの被写体の雰囲気が変わります。
写真E/Fはその例です。
ピンクのコスモスを緑色のスッキリしたところを選んで狙った写真Eですが、なんとなく寂しい感じです。
写真Fは、同じコスモス畑の中で黄色い花が周りに咲いているところで狙った写真です。黄色い背景(ちなみに絞りはF5でぼかしています→後述)が入ったことで、彩りが増し、華やかな雰囲気になりました。
ただし、いろいろな色を混ぜ過ぎると、かえってごちゃごちゃして失敗になります。全体のバランスを見ながら、背景に彩りを添えるくらいが好結果に繋がります。
写真E/Fはその例です。
ピンクのコスモスを緑色のスッキリしたところを選んで狙った写真Eですが、なんとなく寂しい感じです。
写真Fは、同じコスモス畑の中で黄色い花が周りに咲いているところで狙った写真です。黄色い背景(ちなみに絞りはF5でぼかしています→後述)が入ったことで、彩りが増し、華やかな雰囲気になりました。
ただし、いろいろな色を混ぜ過ぎると、かえってごちゃごちゃして失敗になります。全体のバランスを見ながら、背景に彩りを添えるくらいが好結果に繋がります。
写真E
写真F
背景選びはメインの被写体をいかに引き立たせるかが目的だとすると、一番影響が出るのが背景の「明るさ」です。同じ被写体であっても背景の明るさの違いによって、引き立ち方そのものが変わってきます。
写真G/H/Iはそれぞれススキ原を狙った写真ですが、背景の明るさは、それぞれまちまちです。
写真Gの「普通の明るさ」は爽やかな印象に、写真Hの「暗さのなかの明るさ」だとメリハリ感が強いインパクトのある印象に、写真Iの「明るい背景」ではドラマティックな印象に感じます。
どれが正しいということはありませんが、メインの被写体をどんな風に引き立たせたいか。それによって、背景の明るさをどうするかが決まってきます。
写真G/H/Iはそれぞれススキ原を狙った写真ですが、背景の明るさは、それぞれまちまちです。
写真Gの「普通の明るさ」は爽やかな印象に、写真Hの「暗さのなかの明るさ」だとメリハリ感が強いインパクトのある印象に、写真Iの「明るい背景」ではドラマティックな印象に感じます。
どれが正しいということはありませんが、メインの被写体をどんな風に引き立たせたいか。それによって、背景の明るさをどうするかが決まってきます。
写真G
写真H
写真I
最後に解説するのは、もっともコントロールが難しい背景の「ボケ具合」についてです。
つまり、背景はぼかす(写真J=F4)のか、ハッキリ見せる(写真K=F11)のか、どちらにするのかです。と、簡単にいいましたが、このボケ具合がくせ者で、実は背景のボケ具合は写真を見るときの大きさによっても印象が変わります(もしこの表示画面を縮小できる方は、実際に縮小してみてください。印象が変わるのがおわかりでしょう)。
2つ目のポイントで上げた背景の模様が、ここで大きく影響してきます。
背景の模様がスッキリしているならば、完全にぼかしても問題ありません。
しかし、この作例にある木漏れ日のように、複雑な模様がある場面では、絞りをいくつに設定し、背景をどのくらいぼかすのかをコントロールする必要があります(ちなみに、小さいまま見るなら写真Jが、大きくして見るなら写真Kのほうが、木漏れ日っぽさが感じられます)。
しかも厄介なことに、絞りによる背景のコントロールは、コンパクトカメラやスマートフォンのカメラではできません(機械的に画像処理する場合は除く)。
お持ちのカメラが「絞りコントロールが可能」なカメラ(一眼レフカメラや一部機種を除くミラーレスタイプの一眼カメラ)ならば、ぜひ絞りを変えて撮影して、あとで大きさを変えて雰囲気の違いを確かめてみてほしいと思います。
※撮影状況や鑑賞条件によっても「ボケ具合」は変わってくるので、絞りの設定はケースバイケースで行う必要があります。
つまり、背景はぼかす(写真J=F4)のか、ハッキリ見せる(写真K=F11)のか、どちらにするのかです。と、簡単にいいましたが、このボケ具合がくせ者で、実は背景のボケ具合は写真を見るときの大きさによっても印象が変わります(もしこの表示画面を縮小できる方は、実際に縮小してみてください。印象が変わるのがおわかりでしょう)。
2つ目のポイントで上げた背景の模様が、ここで大きく影響してきます。
背景の模様がスッキリしているならば、完全にぼかしても問題ありません。
しかし、この作例にある木漏れ日のように、複雑な模様がある場面では、絞りをいくつに設定し、背景をどのくらいぼかすのかをコントロールする必要があります(ちなみに、小さいまま見るなら写真Jが、大きくして見るなら写真Kのほうが、木漏れ日っぽさが感じられます)。
しかも厄介なことに、絞りによる背景のコントロールは、コンパクトカメラやスマートフォンのカメラではできません(機械的に画像処理する場合は除く)。
お持ちのカメラが「絞りコントロールが可能」なカメラ(一眼レフカメラや一部機種を除くミラーレスタイプの一眼カメラ)ならば、ぜひ絞りを変えて撮影して、あとで大きさを変えて雰囲気の違いを確かめてみてほしいと思います。
※撮影状況や鑑賞条件によっても「ボケ具合」は変わってくるので、絞りの設定はケースバイケースで行う必要があります。
写真J
写真K
今回は、花などの被写体を中心に背景選びについてお話ししましたが、最後に私自身が普段撮る鉄道での背景選びを紹介しておきたいと思います。
写真Lは、日本海沿いを走るJR羽越本線の写真です。当然日本海沿いを走るので、①海をバックに、②フレーミングは雲の形を意識して、列車は存在が際立つよう背後がスッキリした場所に来たときを狙って、③海が引き立つように青空と白い雲を入れて、④列車に当たる光りが際立つように背景はやや暗めに、(⑤ちなみに遠い風景のため絞りは意識しなくても全体にピントが合っています)、といった具合に5つのポイントを意識して背景を決めて撮影しました。
写真Lは、日本海沿いを走るJR羽越本線の写真です。当然日本海沿いを走るので、①海をバックに、②フレーミングは雲の形を意識して、列車は存在が際立つよう背後がスッキリした場所に来たときを狙って、③海が引き立つように青空と白い雲を入れて、④列車に当たる光りが際立つように背景はやや暗めに、(⑤ちなみに遠い風景のため絞りは意識しなくても全体にピントが合っています)、といった具合に5つのポイントを意識して背景を決めて撮影しました。
写真L
☆
背景選びを意識するだけで、写真が変わってくると思います。いい被写体を見つけたらぜひ、「背景選びのポイント」を思い出してみてください。
背景選びを意識するだけで、写真が変わってくると思います。いい被写体を見つけたらぜひ、「背景選びのポイント」を思い出してみてください。
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
羽州街道-金山峠越
(宮城県ホームページより)
(宮城県ホームページより)
都道府県教育委員会の協力のもと、昭和53年より文化庁によって選定がはじまったのが「歴史の道百選」です。
歴史の道の調査には時間がかかり、整備状況や活動事業の業績などによって平成8年11月に選定委員会による第一次選定が実施されました。
主に明治時代までに活用された78か所の街道、運河が選出されています。
たとえば、観光スポットとして人気のある松本・千国街道、鎌倉街道、下田街道‐天城越などが選出されています。
選考基準は原則として「一定区間良好な状態で残っている」、「交通遺跡としての価値がある」「現用の舗装道路は条件付で選定の対象外」などとなっています。そのために、選ばれた街道、運河は現在日本の幹線道路ではありませんが、風情ある旧街道といえるでしょう。
当然、撮影スポットとしても素晴らしい環境を保持しているところが少なくありません。
たとえば、そこに咲く1輪の花を見つけ、背景に歴史の道を入れ込んでみる。
越カメラマンの教えてくれた5つの秘訣を試してみたいものですね。
●歴史の道百選
http://j100s.com/rekishinomichi.html
http://www.town.anan.nagano.jp/sosiki/cat3/000989.html
長野県飯田市より天竜川に沿って南下、やがて新東名浜松いなさJCTに出る道の遠州街道の途中に阿南町があります。
自然が豊かで、日本の原風景が広がる阿南町。阿南町では観光PRに使用するための「写真コンテスト」を開催しています。
応募しているテーマはふたつで、①阿南町の祭り、イベント部門、②自然、風景、町民の暮らし部門となっています。
ユニークなのは審査方法で、主催者や町民、観光客による道の駅、温泉施設かじかの湯、役場などに設置された投票箱への投票によって最優秀賞が決まります。
撮影場所が阿南町内と限られますが、日本の中央部に位置する長野県下伊那郡阿南町。これからの観光シーズンにおでかけして、シャッターを押してください。
長野県飯田市より天竜川に沿って南下、やがて新東名浜松いなさJCTに出る道の遠州街道の途中に阿南町があります。
自然が豊かで、日本の原風景が広がる阿南町。阿南町では観光PRに使用するための「写真コンテスト」を開催しています。
応募しているテーマはふたつで、①阿南町の祭り、イベント部門、②自然、風景、町民の暮らし部門となっています。
ユニークなのは審査方法で、主催者や町民、観光客による道の駅、温泉施設かじかの湯、役場などに設置された投票箱への投票によって最優秀賞が決まります。
撮影場所が阿南町内と限られますが、日本の中央部に位置する長野県下伊那郡阿南町。これからの観光シーズンにおでかけして、シャッターを押してください。
募集締切 :
2016年10月31日(月)
商品など :
両部門ともに
最優秀賞1名/賞状・副賞:あなん育ち米20kg、ギフトセット等
優秀賞2名/賞状・副賞:あなん育ち米5kg、ギフトセット等
最優秀賞1名/賞状・副賞:あなん育ち米20kg、ギフトセット等
優秀賞2名/賞状・副賞:あなん育ち米5kg、ギフトセット等
編集スタッフが取材ででかけたときに、その合間に撮影した写真でよろしければ…。という主旨の「壁紙プレゼント」コーナーです。今月は長野県にハイキングに出かけたときに、ブナの原生林が残る森で撮影した写真です。どことなく涼しげではありませんか?
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。